研究室配属を控える学部3年生へ
研究室を決めるにあたって
研究室は卒論を仕上げるためだけでなく、その後における物事の考え方の基本を学ぶ場です。
また同じ研究室に所属した先輩・後輩や同級生同士の関係など将来にわたっての貴重な人間関係を作っていく場でもあります。
もちろん研究以外にも様々なイベントがあり人生の中できわめて濃密で楽しい時間です。
いずれにしても研究室担当者や先輩たちの醸し出す“雰囲気”はいろんな意味でその後の研究者・技術者としての進路に大きな影響を与えます。どの研究室のどの研究テーマであっても、教科書にはない新しいことに取り組むわけですから、ただ”楽な”だけのテーマなどないと思います。そう言った意味から、自分が現在何に興味があり、何をやってみたいのか、 よく考えて卒論研究室を選択してください。
我々の研究室は、「ナノワールド」という競争の激しい分野にあって世界でもトップレベルの研究を目指しています。また、環境科学研究科の新日鐵住金連携講座に進学した学生の里親研究室としても共同しつつ研究に取り組んでいます。
そのような独自性の高い困難な研究に対して、学部・大学院(特に博士課程)にわたって、関連するチームと協調しつつ熱心に粘り強く取り組んでいただける方を歓迎します。(和田山)
動画:超高真空装置を用いた実験
学生からの研究テーマ紹介
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D3:林 謙汰
出身:福島県
趣味:映画鑑賞(最近はホラー履修中)
研究テーマ
よく規定されたIr基合金およびIr酸化物の電極触媒特性▼具体的な研究内容
水素社会の実現には(i)化石燃料に頼らない水素製造技術と(ii)水素を用いた発電技術の両方の発展が必要です。そして、いずれの場合にも触媒材料開発が極めて重要とされています。そこで私はIr(イリジウム)に着目し、優れた触媒の開発を目指した研究を行っています。(i)まず水素製造に関して、Ir酸化物は固体高分子型水電解用触媒として用いられています。しかし、貴金属であるIrの使用量削減が必要で、単位Ir量あたりの触媒特性を高めることが求められています。(ii)また水素による発電についても、Ir基合金は固体高分子形燃料電池の次世代触媒として高いポテンシャルを秘めています。現在実用化されているPt(白金)系触媒は、装置の劣化原因となる過酸化水素発生が問題視され、長寿命化に向けた新たな触媒材料開発が検討されています。Ir基合金はその候補の一つですが、基礎的な知見は未だ限られています。これらの課題に対し、本研究室の特色である原子レベルで構造制御したモデル触媒を駆使して、基礎的な側面から取り組んでいます。
ひとこと:思い立ったが吉日思い立ったが吉日 -
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D2:千田 祥大
出身:生粋の仙台市民
趣味:ゲーム・パズル・クイズ等, テニス
研究テーマ
Pt/セラミックス触媒のモデル構造解析と触媒特性評価
▼具体的な研究内容
固体高分子形燃料電池(PEFC)カソード触媒について、希少かつ高価でありながら高い酸素還元反応(ORR)活性を示すPtを強酸性・電位変動負荷の過酷な環境下で有効に使うための研究が、様々なアプローチで進められています。Ptは少量でも大きな表面積が得られるようにナノ粒子状にして利用することが多く、それらを電極全体に分散させつつ集電体の役割を兼ねるものを担体と言います。現在、導電性の高さや生産コスト等の点でカーボンブラックが担体に使用されていますが、カーボンは実動作環境で構造劣化しやすく、触媒の耐久性に課題があります。私の研究テーマでは、炭素に変わる構造安定な担体材料として注目されているスズ酸化物やチタン酸化物といったセラミックス材料を担体に使用することで、担持されるPtにどのような影響(触媒活性・耐久性の変化等)があるか、表界面構造と電気化学特性の関係性について調査しています。
ひとこと:外出するの好きなんだけど、何かと枷の多いご時勢ね…… -
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M2:坂田 良真
出身:北海道
趣味:深夜ラジオ、スポーツ観戦(サッカー, F1)
研究テーマ
気相合成した金属化合物薄膜の電解オゾン生成
▼具体的な研究内容
自然分解性を有し、強力な酸化剤として知られるオゾン(O3)は、浄水場における水処理、医療機器や半導体の洗浄など様々な分野での活用が期待されています。オゾンは水電解によりアノードで酸素とともに生成します。現在、アノードの低コスト化を目的としてSnO2などの金属化合物薄膜を用いた電極の実用化が検討されていますが、低反応効率や低耐久性といった課題を抱えています。これらの解決には電極の構造がオゾン生成特性に及ぼす影響を調査することが必要です。そこで私は、均一な薄膜の合成が可能である気相合成(真空蒸着)法により、様々な条件で薄膜を合成することで、その構造の変化がオゾン生成特性に与える影響を調査しています。
ひとこと:みんな来てね -
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M2:富森 雄
出身:埼玉県
趣味:旅行
研究テーマ
Ptを含む高エントロピー多元系合金表面系の酸素還元反応特性
▼具体的な研究内容
固体高分子形燃料電池(PEFC)はアノードで水素酸化反応(HOR)、カソードで酸素還元反応(ORR)が定常的に進行して起電力が生じる。特にカソードのORRはアノードのHORと比較して反応速度が遅く、触媒として貴金属であるPtが多量に使用されており、問題となっている。Ptの使用量を削減した新規触媒として、本研究では複数の元素を等組成比で含む多元系合金に注目した。多元系合金は高い混合エントロピーの効果により、特に高温域において安定な単相固溶体を形成することが知られている。多元系合金において、その合金化元素がランダムに配置された構造や、構成元素数・元素種がORR特性に及ぼす影響についての検討は非常に限られており、未解明である。本研究では、FCC単相固溶体の形成が予想される多元系合金層をPt単結晶基板上に堆積させ、その上にPt層を堆積させたコアシェル構造のモデル表面を真空蒸着法により作製し、そのORR特性や表面構造の評価を行う。
ひとこと:冷凍庫が欲しいです。 -
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M2:吉田 壮太
出身:青森県 八戸市
趣味:麻雀 ゲーム(ドラクエ・ポケモンなど)
研究テーマ
カルバゾールデンドリマーで修飾したAu電極の二酸化炭素還元特性
▼具体的な研究内容
ひとこと:深夜に寝ぼけながら青葉山を下っていたら隣に猪がいました。 -
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M1:江幡 朋陽
出身:宮城県
趣味:釣り、ギター、ドライブ
研究テーマ
多元系合金コアシェルモデル触媒の特性評価
▼具体的な研究内容
今日、持続可能な科学技術が社会の要請になっています。環境への影響や資源枯渇の問題を背景に、化石燃料に依存度した現状から脱炭素社会の実現に向けた取り組みが盛んになっています。
水素を燃料とする固体高分子形燃料電池(PEFC)は発電時には二酸化炭素を排出しないことから、脱炭素を推進する上で利用の拡大が期待されています。現在PEFCでは、酸素還元反応(ORR)が起こるカソードの触媒として大量のPtナノ粒子が使用されています。Ptも限りある(かつ高価な)資源であるため、低Ptかつ高活性な触媒の開発が求められています。
Ptナノ粒子内部を安価な遷移金属Mに置き換えたコアシェル構造は、低Ptでありながら高いORR活性を示すことが報告されていますが、遷移金属Mの溶出による構造劣化に伴う触媒活性の低下が、実用化に向けた課題となっています。
この研究では、溶出の抑制が予想される多元系合金をコアに用いることによる耐久性向上を中心に触媒特性の向上を目指しています。実験においてはナノ粒子ではなく、Pt単結晶基板上にアークプラズマ蒸着によって多元系合金コア層およびPtシェル層を堆積したモデル試料を用いてORR触媒特性を調査しています。
ひとこと:通学路にツツジが咲いていて和みます。 -
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M1:上川 洸瑠
出身:千葉県
趣味:合気道、ゲーム(原神など)、一人旅
研究テーマ
単結晶薄膜のモデル電極触媒を用いたアンモニア電解合成の検討
▼具体的な研究内容
水素社会の実現に向け、水素のキャリアとしてアンモニア(NH3)の活用が考えられています。そのためには水素をアンモニアに変換するプロセスが必要ですが、熱力学的なプロセスであるハーバー・ボッシュ法に替え、電気化学的にNH3を生成する手法が近年注目されています。この方法ではカソードにおいて窒素がアンモニアに還元されます(NRR:Nitrogen Reduction Reaction)が、競合反応として水素発生反応(HER:Hydrogen Evolution Reaction)等が存在し、生成効率(=流れた電流のうちどれだけがNH3生成に寄与したか)は数%未満と非常に低い事が課題となっています。本研究は、超高真空中でよく構造規定された単結晶薄膜のモデル電極触媒を物理構築して各種の表面科学分析・触媒特性評価を行い、NH3生成効率の高い触媒の実用化に向けた指針を提示する事を目的としています。
ひとこと:絶好調です! -
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M1:小林 拓海
出身:長野県
趣味:スキー、筋トレ、プラモデル
研究テーマ
メラミン修飾Pt合金系触媒表面の酸素還元反応特性
▼具体的な研究内容
固体高分子型燃料電池(PEFC)は発電時の生成物が水だけであることから、環境負荷の小さい発電システムとして注目されています。しかしながら、PEFCの電極触媒には希少かつ高価な白金(Pt)が用いられており、高コスト化の要因となっているため、PEFCの広範な普及には使用されるPt量を極力削減することが必須です。触媒粒子の表面(殻:シェル)にだけPtを残し、触媒作用に直接寄与しない粒子内部(核:コア)を異種元素Mで置き換える技術はPt使用量低減にとどまらず、Ptがコア原子から影響を受けることで触媒性能が向上します。しかし課題として合金元素の溶出による性能の低下が挙げられます。私は、この課題に対して溶出の抑制が期待される多元系合金を用いることと、触媒表面への有機物の修飾といった2点から研究しています。私の研究では、これらの要因についてより詳細な検討を行うため、表面科学を駆使した基礎的側面から触媒構造及び最適な有機物修飾量、触媒特性を調査します。
ひとこと: -
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B4:石橋 旺河
出身:静岡県
趣味:バレー
研究テーマ
気相合成した金属化合物薄膜の電解オゾン生成
▼具体的な研究内容
白金基板表面に、、、
ひとこと:海外行きたい -
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B4:伊藤 悠悟
出身:山形県
趣味:旅行、登山
研究テーマ
Pt-Cr-Mn-Fe-Co-Ni合金単結晶薄膜の脱合金化とORR活性
▼具体的な研究内容
固体高分子型燃料電池(PEFC)のカソード電極においては酸素還元反応(ORR)が起こり、触媒としてPtが使用されています。しかし、Ptは希少、かつ高価であり、少ないPt量であってもORR反応が多く起こるような触媒の開発が求められています。先行研究より、モデル触媒において、Ptに加えCr,Mn,Fe,Co,Niを用いて触媒を作製した時、高いORR活性を示すということがわかっています。しかし、これはモデル触媒における結果であり、実触媒への応用には至っていません。そこで本研究では、Pt-Cr-Mn-Fe-Co-Ni合金の脱合金化プロセスとORR活性の関係性を調べることで、Pt-Cr-Mn-Fe-Co-Ni合金の実用化にむけた研究を行っています。
ひとこと:北海道に行ってみたい -
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B4:三瓶 柾希
出身:
趣味:
研究テーマ
▼具体的な研究内容
ひとこと: -
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B4:登坂 俊亮
出身:
趣味:
研究テーマ
▼具体的な研究内容
ひとこと: -
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B4:長石 真魚
出身:
趣味:
研究テーマ
▼具体的な研究内容
ひとこと: -
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B4:楢木 奈桜美
出身:
趣味:
研究テーマ
▼具体的な研究内容
ひとこと: -
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B4:野田 大輔
出身:福島県
趣味:小説を読むこと。短編、長編を問わずミステリが好きです。
研究テーマ
PGM系多結晶試料における水素酸化反応の表面構造敏感性
▼具体的な研究内容
電極触媒反応は、溶液中電圧を印加した電極表面で進行するため、その触媒特性(活性、耐久性など)と表面構造の関連を調べることは基礎学問として重要です。本研究では、表面局所構造に依存した電気化学特性をin situで測定可能な走査型電気化学顕微鏡(SECM)を多結晶に適用することで、その活性と結晶配向性の相関を明らかにすることを目的としています。
ひとこと:焦らず頑張る -